サルベージ・パーティー
「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」( http://foodlosschallenge.com )の活動の一環で、各家庭で余った食材を持ち寄り、プロの料理人に目の前で調理してもらうサルベージ・パーティーが、主婦たちの間で人気だそうだ。プロの手にかかると余り物もしゃれたフレンチやイタリアンに変身していく、その意外性と、フードロス問題を学びながら、余り物を美食に変える知恵も同時に学べるのが魅力になっている。
レシピサイト「クックパッド」でも、リメイクレシピが10000件以上投稿されており、同様な別のサイト「レシピブログ」では『賢く変身!残り物リメイクレシピ』が人気上昇中とのことだ。
平成21年に農林水産省が発表した最新統計によると、日本では年間約500~800万トンの「食品ロス」を出している。これは世界全体の食料援助量の2倍にあたり、日本の主食向け年間米収穫量の約813万トンにも匹敵するらしい。そもそも日本で食品ロスを発生させる要因となっているのは、「消費期限(米国ではUse by)」とは別に他の国と比べかなり短く設定されている「賞味期限(米国ではBest Before)」だったり、加工食品の外装に少し傷があるだけでメーカーに返品する慣習など、日本の消費者の行き過ぎた安全・安心・清潔志向だと指摘されている。
日本の食料廃棄率は、世界一の食料消費国であるアメリカをも上回るとの試算もあるようだ。食品ロスは単なる廃棄ロスだけではなく、その返品・返送、回収、廃棄、リサイクルの過程で出るCO₂増加というデメリットもある。食品ロスが削減できればCO₂も減少し、消費者にとっても大きなメリットになるはずだ。しかし何と言っても、日本の食品廃棄の半分以上が家庭からの廃棄であることを見過ごしてはいけない。これは教育の問題でもあるのだろう。
日本人は経済大国を謳うならば、その影響の大きさを自覚して家庭レベルからの食料廃棄を考え、食材のサルベージを多角的に理解するインテリジェンスを持つ必要がある。安易に「賞味期限○月○日」などと切って捨てるのではなく、「Best Before (B.B.)○月○日」と英語で言うだけでも廃棄ロスは減るだろう。米国の圧力で安全を棚上げにしてまで左ハンドル車を合法にしている日本なら、それぐらい英語でもバチは当たらないのでは?
| 14.11.14