圏外設定
Facebook、Twitter、LINEなどでSNSに疲れてしまっている人が多いという記事をよく目にする。時間ばかりが消費される、人間関係のトラブルが起きるなど、デジタル生活の不満は後を絶たず、上手く付き合えば自分にとってプラスになるはずなのに活用できていないという声もよく聞く。そんなデジタル社会の中で快適に過ごすためのヒントが書かれた『デジタルデトックスのすすめ 「つながり疲れ」を感じたら読む本』(米田智彦/PHP研究所)が注目されている。著者の米田智彦によると、過度な情報化社会に疲れたり飽きた人たちが「接続しないこと」にコストをかける、「圏外を買う」時代が訪れているのだという。
強制的にスマホを圏外にするポーチやケース、ハンカチ“Phonekerchief”
(http://www.uncommongoods.com/product/phonekerchief)などの“圏外グッズ”も既に商品化されている。電源を切れば?と思うが、電源を入れたり切ったりするのに時間がかかる為、考えられたのがこの商品だ。
カリフォルニア州のナバロで開催され注目されているのは、「デジタル・デトックス・キャンプ」というイベントだ。そこに集まった300人余りの参加者は3日間のあいだ、携帯電話、コンピュータ、タブレット、時計を使用することや、仕事、年齢に関して話すことを禁じられ、名前もキャンプ中だけの仮の名前を使って生活するそうだ。ネットから離れ大自然のなかで目の前のことに集中する時間を過ごしているうちに、以前の自分を取り戻していくという。
アイルランドの首都ダブリンにある「THE WESTIN DUBLIN」では、チェックインの際、スマートフォンやPCなどすべてのデジタルガジェットを預けないといけない、「Digital Detox in Dublin」という1泊175ユーロ(約24,000円)のプランが提供されている。それに含まれるのは、
ウェスティンの「ヘブンリーベッド」での快適な眠り、ベッドで朝食、部屋でゆったりマッサージ、ダブリンの散歩マップ、本物の新聞、リラックスできるホワイトティーのアロマキャンドル、ボードゲーム、お土産用の植物栽培キットなどの特典。「ガジェットをホテルの受付で預かる」という強硬手段と、ヒマな時間を解消するサービスの提供で、否応なくデジタルデトックスができるというわけだ。
考えてみれば、ほんの25年前日本がバブルに踊っている頃はレンガブロックの様な携帯電話だった。高級車のリアウインドウに2本のアンテナが立っていた時代だ。スマホにまで発展したこの25年間に個人の幸福感が上がったという統計はない。
| 14.06.13