円周率ソング
円周率Π(3.14159265…)という神秘的な無限数を音で表現しようと試みて、できあがったある曲が注目されている。是非聴いてほしい。
この作品『Song from π!』(https://www.youtube.com/watch?v=OMq9he-5HUU)は、作者であるaSongScout氏によって、2011年にYouTubeに投稿されたが、今年の3月、ScienceDump( http://www.sciencedump.com)に投稿されるなどしたことから、再び話題になっている。作者がこの曲を作ったきっかけは“記憶するため”とのこと。数字を覚えるよりも、曲を覚えた方が早いと考え、円周率を独自の法則でメロディにしたそうだ。曲は「Aハーモニックマイナースケール」という音階を基に構成されおり、【数列】に【音階(コード)】を割り当てている。それにしても、こんな美しいピアノ曲が出来上がるとは・・・。
奥の深い円周率については、世界中の人々が紀元前から現在までいろいろな形で研究し、今なおどんどん深化している。コンピューターを使用した計算では小数点以下12.1兆桁まで計算され、暗唱では6万桁を超える記録が『ギネス世界記録』によって認定(2005年11月20日)されている。また3月14日は多くの国で「円周率の日」とされており、2009年アメリカ合衆国の下院では、学校でこの日を利用して生徒に円周率(3.1415)について教え、「数学を学ぶ魅力を伝える」よう呼びかける決議案("Supporting the designation of Pi Day, and for other purposes.")が承認されたそうだ。惑星はすべて球体、Πなしには存在しないというわけだ。
一方日本では、いわゆる「ゆとり教育」の一環として小数点第2位以下の掛け算や割り算の学習内容が削減されていたため、1992年度から実施された学習指導要領では、幾何学における円の周の長さや面積を求めるために円周率を手計算に用いる場合、「円周率は3」として概算してもよいとした。
それを首都圏の学習塾が、「ゆとり教育で学力低下。円周率は3?」と大々的な宣伝キャンペーンに利用したことで、円周率はゆとり教育を否定的にする象徴として社会に広く認識されるようになってしまった。学習指導要領は2011年に改正され、これは「脱ゆとり教育」を示すものと認識されている。が、しかし、遅きに失したかもしれない。「山の日(8月11日)」などを定めている場合か!?
他の先進国で、いかに円周率を覚えさせるか、科学的教育をするかを考えている時に、一時的とは言え科学的探求を緩め、計算しやすくするために「3」にしてしまう国、日本。技術力で世界をリードできる国になれるとはとうてい思えない。
折しも「円安を理由」に日本企業の好決算が続く中、株価が上がらないという事実が、日本の決して明るくない未来を証明しているかのようだ。
| 14.05.16