「ドラえもん」モデル
「ドラえもん」モデルで日本とアジアとの関係を俯瞰すると、2014年に日本が進むべき道が見えてくるのではないだろうか?
22世紀からやって来たネコ型ロボット「ドラえもん」。2002年にアジア版タイム誌アジアのヒーロー25人の1人に、ジャッキー・チェンらに混じって人間ではない「ドラえもん」が選ばれるという事件があった。「ドラえもん」は、アニメのヒーローとしてアジアの多くの人々の心に広く深く浸透し、日本が戦後アジアに派遣した最高の親善大使のひとりとも言われている。豊かさを実現したアジアの国々の新興中間層の若者は、憧れの近未来のライフスタイルを「ドラえもん」から積極的に吸収して育ってきた。支配層やエリート層の西洋的な子ども観には今ひとつ積極的になじめなかった若者にも、「ドラえもん」は実現可能な等身大のライフスタイルを提供してきたというわけだ。しかし、あくまでも生の日本人をヒーローにしないところが、アジアと日本の微妙な位置関係を表しているとも言える。
そんな「ドラえもん」を取り巻く登場人物の中で、勉強も運動もイマイチでドジばかり踏む「のび太」、乱暴で自己中心的な性格のガキ大将「ジャイアン」、金持ちでイヤミな重度のマザコン「スネ夫」、3人それぞれのキャラクターになぞらえて、日本とアジアの関係がよく語られる。日本はのび太だったり、スネ夫だったり・・・。のび太が日本の場合は、スネ夫が韓国、ジャイアンが中国。スネ夫が日本の場合は、大国アメリカ(ジャイアン)の陰からアジアを窺っているといった具合だ。
アメリカ寄りのアジアの国々では、「ドラえもん」をアメリカと捉える傾向もあるようだ。傍若無人なジャイアン(中国)にいじめられたのび太をドラえもんが未来の道具で救うというおなじみの展開のごとく、外交、軍事、経済などあらゆる分野で、アメリカがアジアの同盟国の「助けて」に応えてきたからだ。しかしアメリカは同盟国を助けるそぶりをして、突然「おまえのものは俺のもの、俺のものも俺のもの」が口癖のジャイアンに変身して一方的な振る舞いをする場合も多々ある。
日本が国のあり方で迷いを見せ、成熟した先進国としてのリーダーシップを期待されながらも発揮できていないことに忸怩たる想いをしている人も多いのではないだろうか?アジアの国々(=のび太)に対して、真のヒーロー「ドラえもん」を本格的にめざす時が来ていると感じている人は多いだろう。超大国米中ロはどこまで行っても結局はジャイアンなのだ。ジャイアンの陰からスネ夫を演じる日本は少し見苦しい。堂々とアジアの問題解決を担当する「ドラえもん」モデルに照準を合わせてはどうだろう?
アセアン10カ国の経済統合AECの完成も来年2015年に迫り、世界経済の中でアセアンと東アジアの関係がいよいよ重要になってくる。領土問題は存在しないのではなく存在するのが普通だと考えることができないと、日本は永遠に「ドラえもん」にはなれないだろう!
| 14.01.10