下り坂サイコー?
俳優・火野正平が「人生、下り坂。サイコー!」と叫びながら下り坂を自転車で駆け下りるテレビ番組で、彼の肩の力を抜いた感じに惹かれている女性が意外に多い。
視聴者の手紙に書かれた“こころの風景”を求めて自転車で日本列島を縦断する、BSプレミアムの番組『にっぽん縦断こころ旅』だ。旅先では、おばあちゃん、おばさんやおじさん、小学生までもが握手を求めてきたり、話しかけてくる。それに対して、火野正平が独特のユーモアでユルく対応するところが見事で、そのおおらかな性格が番組全体の魅力になっているようだ。いつの間にか、60歳を超えたオッサンがモテるのにも納得させられてしまう。
タイトルの“下り坂”をイメージすると、一見マイナスな感覚で受け止めがちだ。しかし、自転車で坂道を下る感じは力が抜けて、なんとも爽快な気分になるのは火野正平だけではない。“下り坂”を下りていくのもいいものかもしれない、とこの番組は思わせてしまう。
首相自ら音頭を取って経済成長を促し、オリンピック目指して更に働き、強制的に物価を上げて給料も上げて行く?ことに疑問をもっている人が、この番組を支えているのかもしれない。本来20年間も物価が変わらなかったことは、すばらしい事ではないか!逆の見方をすれば、それでも国が成立しているのは奇跡にも近く、他の国に真似のできない離れ業を成し遂げたとは言えないのだろうか?という声が隠れているようにも思う。
先週からスタートした都知事選は、今回「細川―小泉」という元総理コンビが街頭に立っているというのに、有権者の関心が低く意外なほど盛り上がらない。小泉氏が「都政には防災問題や医療福祉、都市機能などたくさんあるが、誰が知事になっても、原発以外、たいした違いはない」と演説すればする程盛り上がらないのだ。
下り坂を有権者が下りていく都知事選ポスターをご覧になった方も多いと思う。東京の生活の質、ライフスタイルは、「安倍政権下で守れるのか?さらに向上させられるのか?これでいいのか?」、とすべき争点を“下り坂”で表現した、大変高度な隠喩に富んだポスターだと思うのだが・・・。
| 14.01.31