WASHOKU
『WASHOKU(Traditional Japanese Cuisine )和食』が世界文化として、ユネスコの無形文化遺産に登録されることになった。海外では既に健康的な料理として定着している『和食』がさらに人気が高まることになる。さっそく日本のイメージアップにもなると、食材の輸出増加などに期待が寄せられているが、ところで、何をもって『和食(WASHOKU)』なのだろうか?その明解な定義はなく、その判断は日本人の感覚、その食事をする人の感覚にゆだねられていると言っても過言ではないようだ。あえて狭義でとらえるならば、日本で培われた「出汁」などを利用した独特の調理法で作られた料理のことを指すのだろうか?しかし、独特の調理法というのが曖昧なため、『和食』の範囲は非常に広く考えられている。
ユネスコの無形文化遺産への登録を目指す動きはかなり前からあり、当初は会席料理を頂点とした日本料理の文化性で登録を目指していたようだ。しかし、そうした日本料理は一部の人だけのものと捉えられ、業界を保護するための取り組みと見られたりする可能性があることから、特定の日本料理に偏らない、日本の食全体にまつわる文化・習わしを推薦する方針に変えたのだそうだ。『和食』の推薦理由は、1)新鮮な食材、2)優れたバランス、3)年中行事との関わり、4)美しさ・季節の表現とのこと。これらが食文化として、自然を尊重する日本人独特の精神が表れ、世界の多様な文化のひとつにあたると評価されたらしい。
皮肉なことに、世界的に『和食』がブームになっている中で、肝心な日本では『和食』離れが進んでいる。公立小学校の給食は、ご存じのようにとても『和食』の国の食べものとは言い難い。そのせいなのか『和食』の根本である“うまみ”を理解できない日本人も増えてきているという。食のグローバル化は、日本文化の新しい理解者を増やすことであると同時に、日本自体が変化を求められていることでもある。柔道着がブルーになったように、今やカルフォルニアロールも立派な『WASHOKU』なのだ。
| 13.12.20