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喫茶店ナポリタン

かつて洋食メニューの代表格だった人気のスパゲッティ料理「ナポリタン」を食べる人が目立ってきているそうだ。カフェ&バーとして人気の 「プロント」で、昨年末からメニューに加わった「ナポリタン」の月間の売上が定番メニューを抜いて1位の店舗がある程人気なのだ。バブル期以降、本場イタリアンのパスタ料理に押され気味だった「ナポリタン」の懐かしい味が再び注目されている。太めでやわらかい麺をトマトケチャップに少しだけウスターソースを加えて炒めた味わいは、若者にとっては新しく、価格も手ごろな人気メニューになっている。
そもそも「ナポリタン」復活の兆しは2010年頃からだ。景気の不透明感が強まる中、定番料理に注目する動きが表れ、「B級グルメ」ブームと重なって、誰もが一度は食べたことがある安心できる味のナポリタンは、費用対効果を重視する女性にとっても注文しやすかったからと分析されている。また最近の「喫茶店」の復調傾向も追い風になっているようだ。
都心はスターバックスやドトールコーヒーのようなセルフ型カフェで溢れかえっているが、一方地方では、その地方独自に発展している郊外型フルサービスの喫茶店が未だに人気で、その勢いは全国レベルにまで広がっている。その一つ、東海エリアでダントツの店舗数を誇り、最近アジア系投資ファンドに430億円で買収された「コメダ珈琲店」。すべてのドリンクにトーストと温かいゆで卵がつくモーニングが支持されている。2011年初夏、ついに東京都心進出第1号店が池袋西口にオープンし、ジワジワと“名古屋喫茶”が東京の生活圏に浸透し始めている。続いてドトールが「星乃珈琲店」を2011年11月から、銀座ルノアールが「ミヤマ珈琲」を2012年12月からオープンさせ、喫茶店文化の逆襲が始まっている。いずれも水とおしぼりを出し、注文の商品を席まで運んでくれるフルサービス喫茶店だ。布フィルターで淹れたコーヒーにモーニング、昭和の古き良き時代をイメージした定番の「ナポリタン」やホットケーキなどがメニューに並ぶ。おしゃれ過ぎず、高級過ぎない“ほどほどの日常感”が、スターバックスではカバーし切れなかった層を受け入れ、その居心地のよさにお客が戻り始めている。
かつて、ことある毎に喫茶店に集い語り「ナポリタン」を食す日々を送っていた団塊の世代が、再び中心となって、彼らなりの豊かな高齢化社会をリードして行くことの証明ではないだろうか?

| 13.05.17

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