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英国式執事

イギリス経済は若者の失業率(若年失業率)が22%と高く厳しい状況が続いている。しかし、かつて白人の富豪が住んでいたロンドン中心部は、今や旧植民地系の富豪によって買い占められている為、執事の求人分野だけは求人倍率絶好調と聞く。英国だけでなく世界の最富裕層の資産が増え続けるのにともなって、執事の世界的需要は過去50年で最も高まっているそうだ。英国式の作法を身に付けた執事に対する需要が新興国を中心に高まっているのを
受けて、ロンドンにある執事養成学校も人気を呼んでいる。人材会社「ビスポーク・ビューロ」による執事養成コースでは、裕福な家庭などに仕える際に必要な作法や判断の仕方のほか、シャンパンの注ぎ方、アイロンのかけ方、フラワーアレンジメントなどを指導している。特に中国では「英国式執事」が人気だ。地位とともに生活のグローバル化を意識するようになり、高級輸入車の扱いやワインの知識などハイレベルな人材が必要になっているからだという。そうした中国人の需要を満足させる為に、欧州執事団体は中国に分校を創設し、欧州のマナーを身につけた中国人執事を育成する予定だ。今や英国式執事の技は立派な輸出産業
になっている。
一方、世界の富裕層の間で”信用できる”と評判なのがフィリピンのメイドだ。仕事が丁寧な上に皆英語を話すので、メイドはフィリピン人がいいと言われている。日本でも、東京や横浜の家庭向けの家事・保育サービスを提供している「株式会社シェヴ」(http://www.chezvous.co.jp)が、フィリピン人スタッフ約100名の派遣を始めている。日本人好みの料理や味付け、掃除のスキルアップも随時企業研修でフォローしつつ、派遣先からは、日本人家政婦とは違うホテルのようなリネンの扱いや、片付けのセンスがあると評判を呼んでいるそうだ。
日本では少子高齢化が進む中、“上質な生活を望む人”は増えつつある。女性の社会進出や少子化対策のためにも、育児・家事・介護をこなしてくれるメイドの需要はますます高まってくるだろう。待機児童ゼロを達成した横浜方式が話題になる一方、世界では英国式執事やフィリピンメイドの需要が増加しているというのは見逃せない現象だ。

| 13.05.31

定額制聴き放題

先日、米グーグルが定額制の音楽配信サービス「All Access」を始めると発表した。月額9.99ドルで、計22ジャンルの数百万曲が聴き放題になるという。米国でスタート後世界各国に広げていくが、日本で行うかは明らかにされていない。これは大きな問題だ。
このところ定額の音楽聴き放題サービスが脚光を浴びている。ユーザーは、ストリーミングで再生しデバイスに蓄積できても所有できない。通常の楽曲販売より安価な契約をレコード会社と結び定額でユーザーに提供するというのが、このサービスのビジネスモデルだ。日本でも先行するソニーの「MusicUnlimited」に加え、今年3月からは「レコチョクBest」、DeNAの「Groovy」がスタートし競合しはじめたが、国内のレコード会社は定額での提供にまだまだ及び腰だ。ソフト産業が世界に出ていかなかったら生きる道は無いのだが?
この分野を代表する、スウェーデンの「Spotify」は、フェイスブックと連携することでその数を大きく増やし、現在のユーザー数が世界で2000万人以上にまでなった。同様に台湾、香港、シンガポール、マレーシアで提供している台湾発の定額制サービス「KKBOX」も、台湾と香港だけで1000万を超えるユーザーを抱え人気だ。人気の秘密は、自分が聴いている楽曲をリアルタイムで他のユーザーも聴ける、“一緒に聴く”チャット機能だ。「KKBOX」はこの6月、auスマートフォン向け音楽配信サービス「LISMO unlimited powered by レコチョク」が「KKBOX」
にリニューアルする形で、日本でもサービスを開始する。もはや音楽配信にSNS的要素は不可欠とも言える。
一方冗談の様な話だが、国際レコード産業連盟が、CDやダウンロードを合わせた音楽ソフトの売上高で、日本が2012年に初めて米国を抜き世界最大市場になったと発表し話題になった。日本だけがいつまでもCD売上に頼ったままでいることが世界で笑われているわけだが、新聞は肯定的に報道していたようだ。またしてもガラパゴスだ!戦後アジアの奇跡と言われた経済成長で、強大な内需に基づく経済規模を未だに堅持している日本・・・経済力で世界をリードしていた時代はよかったが、相対的規模が下がってアジアの中ですら地位が後退してくると、内需が中途半端に大きいだけにレガシーシステムから脱却するのが困難と云う変な特徴を持つ。
これでは家電やスマホだけでなく、これから重要になるソフト配信の世界でも、日本は負けるだろう!

| 13.05.24

喫茶店ナポリタン

かつて洋食メニューの代表格だった人気のスパゲッティ料理「ナポリタン」を食べる人が目立ってきているそうだ。カフェ&バーとして人気の 「プロント」で、昨年末からメニューに加わった「ナポリタン」の月間の売上が定番メニューを抜いて1位の店舗がある程人気なのだ。バブル期以降、本場イタリアンのパスタ料理に押され気味だった「ナポリタン」の懐かしい味が再び注目されている。太めでやわらかい麺をトマトケチャップに少しだけウスターソースを加えて炒めた味わいは、若者にとっては新しく、価格も手ごろな人気メニューになっている。
そもそも「ナポリタン」復活の兆しは2010年頃からだ。景気の不透明感が強まる中、定番料理に注目する動きが表れ、「B級グルメ」ブームと重なって、誰もが一度は食べたことがある安心できる味のナポリタンは、費用対効果を重視する女性にとっても注文しやすかったからと分析されている。また最近の「喫茶店」の復調傾向も追い風になっているようだ。
都心はスターバックスやドトールコーヒーのようなセルフ型カフェで溢れかえっているが、一方地方では、その地方独自に発展している郊外型フルサービスの喫茶店が未だに人気で、その勢いは全国レベルにまで広がっている。その一つ、東海エリアでダントツの店舗数を誇り、最近アジア系投資ファンドに430億円で買収された「コメダ珈琲店」。すべてのドリンクにトーストと温かいゆで卵がつくモーニングが支持されている。2011年初夏、ついに東京都心進出第1号店が池袋西口にオープンし、ジワジワと“名古屋喫茶”が東京の生活圏に浸透し始めている。続いてドトールが「星乃珈琲店」を2011年11月から、銀座ルノアールが「ミヤマ珈琲」を2012年12月からオープンさせ、喫茶店文化の逆襲が始まっている。いずれも水とおしぼりを出し、注文の商品を席まで運んでくれるフルサービス喫茶店だ。布フィルターで淹れたコーヒーにモーニング、昭和の古き良き時代をイメージした定番の「ナポリタン」やホットケーキなどがメニューに並ぶ。おしゃれ過ぎず、高級過ぎない“ほどほどの日常感”が、スターバックスではカバーし切れなかった層を受け入れ、その居心地のよさにお客が戻り始めている。
かつて、ことある毎に喫茶店に集い語り「ナポリタン」を食す日々を送っていた団塊の世代が、再び中心となって、彼らなりの豊かな高齢化社会をリードして行くことの証明ではないだろうか?

| 13.05.17

靴中毒女子

ガラスの靴を履きこなしたシンデレラが幸せを手に入れたように、美しく華奢な靴を履きこなすことは素敵な女性の条件とも言える。そんな靴に魅了されてしまう女性達に迫ったドキュメンタリー映画『私が靴を愛するわけ』が公開中だ。
この映画は、50?以上もの高さがあったルネサンス期の靴から、今日のピンヒールまでの歴史を追いながら、靴を通して女性と靴の歴史を紐解いている。作中には、クリスチャン・ルブタン、マノロ・ブラニクなど、全世界の女性が憧れるシューズブランドのデザイナーや、彼らの靴をこよなく愛する有名顧客たち、そしてまさに靴フェチと呼ぶにふさわしい人達へのインタビューも収録されている。女性がなぜ靴に惹かれてしまうのか、靴と女性との関係に迫っているところが興味深い。
フランスのヴォーグ誌によると、読者の8割は靴中毒者で、小型車1台分の金額を靴につぎ込んでいるそうだ。靴は、女性たちの欲望と感情を刺激する、不思議で魅惑的な存在なのだ。そうした中、日本でもこのところ海外ブランドの高級婦人靴の売れ行きが好調だ。映画の中で人気シューズデザイナーのピエール・アルディが語る“女性の官能を呼び覚ます”ハイヒールだけでなく、フラットシューズが急激に伸びているのが、昨年くらいからの傾向らしい。フラットシューズとひと言で言っても、紳士用革靴のデザインを取り入れたタイプや、靴ひものな
いスニーカーの形のスリッポンと種類が豊富になり、各ブランドとも品ぞろえを強化している。装うデザインとしての象徴性も高く、健康との関係も深い、そうした靴本来の価値を重視しようとするのは、最近の消費傾向とも重なっているようだ。
欧米では、エレガントでぜいたくな靴の顧客は一部の富裕層に限られている。しかし、日本では多くの平均的女性たちが、「いい靴は女を上げる」とばかりに高級靴を買い求める傾向がある。こうした購買層の広い日本での高級婦人靴の売れ行きに、世界が注目し始めている。
日本発で新しい高級マーケットを切り開くポイントとして、「高い品質」、「無理すれば手が届く値段」、「独身女性が憧れる」などがキーワードとなっている。超リッチは少ないが、世界の中産階級の高級トレンド消費をボリュームでリードしているのは、相変わらず日本の独身女性マーケットのようだ。

| 13.05.10

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