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式年遷宮

2013年は、20年に一度行われる伊勢神宮の第62回目の「式年遷宮」の年だ。同時に、1744年に御遷宮御造営されて以来1809年、1881年、1953年と行われた出雲大社の「平成の大遷宮」が重なる珍しい年のようだ。しかし、そもそも「遷宮」とはいったい何なのだろうか?
日本には、遷宮に象徴される“切り替え文化”が根底にあると言われている。伊勢神宮の「遷宮」には、鳥居からすべての建物が新たに建て替わる。第一回遷宮の紀元690年より絶えず新しく生まれ変わることを繰り返しており、加えて「遷宮」で出た材木は他の神社の一部として再利用されるなど、再生循環させるシステムもできている。常に新しく変化し続けることによって、同時に永年性を追求するという高い精神性は、宗教の枠を超え、建築など様々な分野において海外からも注目されている。20年ごとの62回だと年数が合わないのは、途中戦乱等で何回も執り行われない事があったからだ。
一方、出雲大社の「平成の大遷宮」は、‘08年から約5年にわたって本殿の修造の為に仮殿に移っていた大国主大神が、本殿に還るというもの。かつて大国主大神の起源ともなった古代出雲国は強大な勢力を誇り、その力は大和政権の勢力下に下るまで出雲地方だけでなく、遠く北陸九州に至るまでを支配した巨大国家だったという。『日本書記』によると、大国主大神は天照大御神へ国を譲り、その際に出雲大社が創建されたとある。そして、国を譲られた天照大御神を祀っているのが伊勢神宮であり、日本の神社の最高位とされて今日に至っている。
本来は、国譲りなどというきれい事ではなく、滅ぼされた百済系出雲王国と、占領した新羅系新王国の関係を表すのだろう。因みに、最初の式年遷宮が行われた紀元690年は、天武帝が没して日本書記や古事記が書き進められようという時代だ。幾度となく支配王朝が変わった倭国が、日本国として永年性を獲得しようという気持ちが式年遷宮には込められていると思う。
1300年ぶりに両神社の遷宮が重なる年が2013年と言うことで、まさに“生まれ変わる年”になる事を願って止まない。

| 13.01.04

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