リクレイム
廃材や古い家具、オブジェに手を加え、新たな用途を与えたり再生させるのを、最近はリサイクルやリメイクというのではなく、「reclaim(リクレイム)」と言う。どうすればその商品をできるだけ長く利用することができるかを工夫し、修理することはもちろん、ほかの利用方法のためにリメイクする意味も含んで、「reclaim(リクレイム)」は使われている。
ニューヨークのブルックリンのウイリアムズバーグに誕生したWythe Hotel (ワイス ホテル:wythehotel.com)は、1901年にできた縫製工場を改装して今年の5月にホテルとしてスタートした。工場特有の基本構造や大きな窓、レンガの壁、ウッドの天井、機械の一分、内装をあえてそのまま残していて、まさに「reclaim(リクレイム)」なホテルとして話題を集めている。タイルのフロアなど、モダンで心地良い空間とロフトライフを楽しめるのが人気のスポットになっている。
ニューヨークでは、都市の変遷に伴って衰退した地区に空き家が目立つと、地代が下落することで、お金のない芸術家やデザイナーたちなどが住みつくという現象がある。しかし、ソーホーやイーストビレッジのように、そのエリアが有名になることで地価が上がり、住民が追い出され、最後には進出してきた高級店や高級アパートしか残らない、ジェントリフィケーション(都市部の再生のための高級化)現象が玉突き状に起こっていた。ブルックリンも、1960年代後半から廃屋同然の街が修復されてよみがえり、ヒップスターの聖地として一躍脚光を浴びるようになったが、移り住んできたクリエイティブ層によるサステイナブルなディベロップメントで、マンハッタン的商業主義からは解放され、街が洗練され、「reclaim(リクレイム)」なカルチャーが形成されるようになったのだ。
経済が発展している時はリクレイムな現象は起きないが、街が成熟化していく為には大切な要素だ。経済の停滞は街の成熟化には有効な時なのかもしれない。
| 12.11.02