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ヤングアダルト市場

自分が一番輝いていた高校時代の元彼とよりを戻そうと暴走する、大人になりきれないアラフォー女性を描いた映画『ヤング≒アダルト』が話題になっている。宣伝のコピーは「あなたは、ワタシを、笑えない。」、主人公のような独身のアラフォー女性にとっては、身にしみるイタイ映画になっている。ヤングアダルトとは、12歳から19歳までの若い大人という意味で、自分は子供ではないと思い始めているが、周囲からは大人とは認められない時期を指す。映画の37歳になる主人公は 、こうした“ヤングアダルト”向けの小説を執筆するゴーストライターだが、自身はアラフォーなのに心はティーンのまま故に、大騒動を巻き起こして、とんだ“ヤングアダルト”ぶりを見せてしまうというストーリーだ。ヒロインのメイビスが着ているキティちゃんのTシャツは、演じるシャーリーズ・セロンのアイデアだそうだ。「キティ」は、ティーンのシンボルだと思っていたが、見渡すと意外に30代でも身につけている人が多いと、大人になりきれないヒロインの象徴として「キティ」を着用したのだ。
ところで「キティ」を主力商品とするサンリオは、海外のグローバルメーカーや流通業にライセンスを供与して一気に販路を広げる事業モデルを採用したことで、高収益体質に転換した。「キティ」は、マライア・キャリー、浜崎あゆみ、X JAPANのYOSHIKIなどセレブリティーのファンも多く、コラボレーションの引き合いが後を絶たない。オーストリアの高級ガラスメーカー「スワロフスキー」、世界最大の小売業「ウォルマート・ストアーズ」、スウェーデンのアパレル「H&M」、フランスの化粧品専門店「セフォラ」など、これらの企業が「キティ」商品の販路を広げ、ライセンスフィーを落とすことで収益体質は格段に向上したという。
「キティ」には口が描かれていない。その理由は「見る人と感情を共有できるように」。その発想は、表情やポーズをあらかじめお仕着せで決めてかかる外国キャラとは全く異なる発想だ。奇しくも「キティ」と『ヤング≒アダルト』のヒロインは同じ年。「キティ」のヤングアダルト戦略は、アメリカのウォルト・ディズニーが圧倒的な地位を確立している世界のキャラクター業界で、さらに存在感を高めていきそうだ。かつて「日本人は大人になっても、なぜ子供の玩具みたいなものが好きなんだ?」と言われたこともあったが、今や日本の“かわいい”も含めたキャラクターブランドビジネスを支えるのは、世界に広がるの「ヤングアダルト市場」なのか?

| 12.03.16

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