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新潟家電
新潟の家電メーカー、ツインバード工業は地元PRとして、ビックカメラ新潟店と共同で“新潟家電”を展開している。同社のポータブルDVD防水プレーヤー「DVD ZABADY」は、お風呂中がホームシアターになって、お風呂で映画を丸ごと楽しむことができる。ツインバード工業は東証第2部に上場する、新潟県三条市にあるユニークな中堅家電製造メーカーだ。消費者の満足度を第一に考え、お客様と一体になって喜びを分かち合うということから「ツインバード」と命名。人気商品をいち早くキャッチし、より良い商品を消費者のことを考え安価で市場に供給している。“新潟家電”のお陰で、「お風呂」をキーワードにしたメーカーとして認知度、業績共に上昇中だ。さらに、「地域発ブランド」から“ニイガタデザイン”としても発信していきたい、と盛り上がりを見せている。
“新潟家電”のように、いろいろなジャンルで、このところご当地パワーが勢いを増してきている。何よりもネットの普及で、ご当地キャラやアイドル、お取り寄せのご当地モノなどが、口コミを通じて全国区になれる為、東京至上主義が崩れはじめ、地元密着のB級グルメまでもが再認識、再評価されているのだ。
ご当地パワーと言えば、最近北海道の「セイコーマート」も注目されている。「セイコーマート」は、主に北海道を地盤としたコンビニエンスストアだ。道内94.4%をカバーする店舗網が強みで、地元ならではのオリジナル商品はどれも安く、独自で輸入しているワインはスキー客にも有名だ。「セイコーマート」が、財)日本生産性本部の2011年度顧客満足度調査コンビニエンスストア部門で、セブン・イレブンを抜き首位に輝いたのは、意外に知られていない。
ご当地に価値があることを把握しているのは、やはりその土地の人にほかならない。ご当地の価値を見直して、中央に頼らない自立の方策を模索することは、日本が経済・文化で成熟する道を歩むために、どうしても必要なのではないだろうか。
江戸時代の各藩の町民文化の成熟は、幕府直轄の天領が少なかったことにも由来する。そういう視点から「大阪都構想」も、これからの日本百年の計の起爆剤になるかもしれない!?・・・。
| 11.12.24
小ぶリッチ
見かけは小さいけれど高機能がウリのモノを “小ぶリッチ”(小ぶりでも中身はリッチ)と言うらしい。先日開催された第42回東京モーターショーでも、1人乗りの小型電気自動車(EV)が、注目を集めていた。中でも、医薬品メーカーの興和と、ロボット開発のテムザックが設立した、興和テムザックの出展した「KOBOT」は、これからの街づくりを意識した、超小型・超小回りを実現したキサイティングな乗り物であるばかりでなく、伸縮折りたたみ機能を搭載して省スペースでも駐車できるすぐれ物だ。まさに“小ぶリッチ”な車と言える。
今回の東京モーターショーは、総来場者数が前回比37%増の84万2600人と、主催者の想定以上の大盛況となった。「若者のクルマ離れ」から収縮が加速する日本国内の自動車市場において、自動車業界関係者の予想を大きく上回った原因は何だったのか?来場した若者が一目見ようと集まったのは、実はハイブリット車やIT系電気自動車ではなく、トヨタの「ハチロク」に代表される小型スポーツカーだった点をアンケートが語っているのは見逃せない。「ハチロク」とは、83年から87年まで生産された4代目「カローラレビン(AE86型)」を指し、販売終了後も長らく中古車市場で高値で取引された往年の“小ぶリッチ”カーを今回復活のテーマにした車だ。当時車がFF化していく中、DOHCの高性能エンジンを積んだ最後のFRと言われた。ドリフト走行は高性能FRしか出来ない為、中古でも高い人気を誇った事をオジサン達も覚えているのだ。「車は速くなければ楽しくない!」という基本に、やっとトヨタも気がついたのかもしれない。それでもカローラレビンの時代は200キロはなかなか出なかったので、高速道路は100キロ制限だったが、あまりストレスは無かった。今は300キロ出る車もザラだが、高速道路は今だに100キロ制限だ。片や新幹線にスピード違反はない!これでは車はストレスの塊りになってしまう。そのハケ口がハイブリッドでの燃費競争では、若者は皆電車オタクになってしまうのではないだろうか?
来春は、ホンダもNSXを復活させてモーターショーに出展するらしい。日本の特技「小ぶリッチ」をさらにスゴイものにして世界をリードし続ける為には、それを使う場所も提供しなければ産業は育成されない!
| 11.12.16
裸婚
「俺には車も金も家もない。結婚指輪も買ってあげられないけれど、それでもいいかい?」
これは中国で今年放映されて人気を博したテレビドラマ『裸婚時代』で、主人公劉易陽が恋人の公童佳倩にプロポーズ゙した時のセリフだ。近年の不動産高騰により、賃金上昇率が不動産価格上昇率に及ばない中国。男性が家を用意する伝統が揺らぎはじめ、中国の婚姻の形態が変容しつつある。
多くの視聴者がこのドラマに共鳴したのは、ドラマが描いているのが大都市の普通の中産階級であり、主人公のカップルが今都市で一生懸命に働いている大多数の若者と同様に、「愛」を選ぶのか?それとも「物」を選ぶのか?という、困難な境地に追い込まれていたからだ。「裸婚」は純愛を追い求める者だけが実現できる一種の“憧れ”となって、「私を愛しているなら、私と『裸婚』して」という言葉が、若者の間で流行したのだという。
急速な経済発展に伴い、最近の中国の結婚条件は、マイホーム、マイカー、一定額の貯金が前提と、要求もかなり高くなっていた。しかし、中国の初代一人っ子たち=1980年代生まれの世代の結婚の現実は、欧米の金融危機に端を発する不況に続き、就職難や結婚難の要素も加わって、かなり厳しい状況になっている。マイホームの取得どころか、披露宴すらひらけないまま「裸婚」を受け入れる若者が増えているのだ。
物欲に溢れ価値観を見失いつつあったこのところの中国社会において、「裸婚」はひとつの勇気なのだろうか。幸せになれるかどうかは、結婚の形式によるものではなく、結婚した二人が家族の責任を共に担い、お互いに支えながら、自分なりの結婚生活を楽しめるかどうかだ。至極当たり前の価値観に、中国は舵を切り始めたと言えるのかもしれない。
急速な経済発展によってもたらされた社会構造の変化は、中国人の生活の形態や価値観に確実に影響を及ぼしつつあるようだ。奇しくも広州での住宅価格の大幅な下落が伝えられる中、中国の消費文化は少しずつ成熟化?していく。
| 11.12.09
ノンアル
アルコール度ゼロでも、味はお酒という「ノンアルコール飲料」。もともとは、飲酒できない時やむを得ず飲む「代替品」だった。味も本物に比べるとイマイチなので我慢して飲むケースが多かったが、本格販売から2年、今では積極的にこの飲料を選ぶ人が増え、「ノンアル消費」が定着しTPOが多様化しつつある。
サッポロビールが今年6月、ノンアルコールビールを飲んだことのある首都圏在住の20代から50代の男女800人を対象に行った調査によると、家庭内に子どもがいる男性回答者の57.2%が、「東日本大震災の後、自宅でノンアルコールビールを飲む機会が増えた」と答えている。その理由としては、6割以上の男性が、「外でお酒を飲むのではなく、家事や育児などの家族サービスのため、自宅でノンアルコールビールを飲むようになった」と回答した。また、震災に備えて、「いつハンドルを握るかわからない」という、“酔えない”消費者心理とも合致している。そうした傾向に対応して、各メーカーともノンアルでも「お酒らしさ」には妥協せず、味の追求が急速に進んでいる。ビールテイスト飲料のヒットに続いて、「サントリーのんある気分」をはじめ、カクテルやワイン、焼酎、果ては甘酒まで、続々と種類も増えている。
「もどき商品」が、まったく別の商品として市民権を得てしまう例は多い。「カニカマ」は本物のカニではないが、もはや一つの商品ジャンルになり、フランスで「スリミ(surimi)」として各家庭の常備品として定着成長している。お酒もどきの「ノンアル」も、食品カテゴリーとして本物に高まりつつある。日本のモノづくりにとって、厳しい規制や制約は時にマイナスではなく、競争力・育成の為の重要なファクターになっているのかもしれない。
| 11.12.02