住みます芸人
2012年に創業100周年を迎える吉本興業グループが、「100周年プロジェクト」の目玉として、「あなたの街に“住みます”」プロジェクトを立ち上げた。
全国47都道府県それぞれに、47人の芸人と約5000人の応募から選ばれた現地採用のエリア担当社員47名が、実際に住んで、地域の声に耳を傾けながら、二人三脚で地域を盛り上げていこうというものだ。 既に“住みます芸人”は5月から引越をして、地域に密着した活動を開始している。街起こしから伝統芸能の保護、新事業の開発まで想定した“Laugh&Peace”をテーマとするムーブメントを起こそうとしている。
「遠い親戚より近くの他人」とあるように、今、地縁社会が見直されている。今回の大震災をきっかけに、多くの人たちの中に、かつて共に助け合って生きていた昔の日本を見直し、とり戻そうとする動きが出てきて、家族、夫婦、仲間、友だち、コミュニティ、地元、ご近所との絆への回帰が、深く静かに進行してきている。そうした中で、実際に「住む」ことで見えてくることがあり、「住む」ことが地域に働きかける力となって、さらに「住む」ことは地縁につながっていくことを、まさに「住みます芸人」は実践しようとしているのではないだろうか。
マルチハビテーション(複数居住)という生活スタイルが言われて久しいが、それは複数の住むべき場所で、「住む」力を持つということでもある。「住みます芸人」のように、「住む」力を発揮する楽しさを通して、マルチハビテーションに挑戦してみるのもいいのでは?
| 11.06.06