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スモールライフ

「人間の豊かさは、あえて無視することのできる物の数に比例する。」米国の作家、ヘンリー・デビット・ソローが著書『森の生活』の中で語っている一節だ。大量消費社会、大量情報社会の中にあふれかえる、もろもろの事物を冷静に取捨選択できることが豊かさにつながるということを教えている。
これまで、大量生産、大量消費にどっぷりつかって、何でもより大きく、より早く、より効率的にを、至上命令のように思い、常に変化を求め日本は進んできた。しかし、今回の震災で、戦後復興から高度成長を経て、グローバル化へと対応してきた日本の経済社会のシステムが、本質的な限界に達していることを教えられる形となったのではないだろうか。グローバルスタンダードを目指して均一化し、勝つために巨大化し、効率化させる為に一極集中も進めてきたことが、実は時代的な要請には応えられないものになっていたことに気付かされたのだ。
以前、スローフードが拡大解釈されて浸透してできた言葉で「スローライフ」があったが、一部の人々のファッションと捉えられてしまった。しかし、今回は世の中全体で、地産地消や自然エネルギー社会を目指す生活様式を評価する時代がやってきそうだ。小さいとか、小ぶりで小回りのきくといった「スモールライフ」が、あらゆることのコンセプトになりそうだ。小さいこと少ないことへの敬意を思い出し、大きいこと多いことが良いのではなくなっていく。これはひょっとして、日本が最も得意なことだったのではないだろうか? ガンバレ日本!

| 11.05.09

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