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トランプ界隈

2月7日にワシントンで行われた石破首相とトランプ大統領初の日米首脳会談は、会食を含めて2時間半以上に及んだ。「予測不能」のトランプ大統領と、薮睨みで「何を考えているのか不明」な石破首相だが、日米貿易赤字の解消と関税問題、また世界平和と日米安全保障の再確認など主要議案を巧みに網羅しつつ、懸案だった日本製鉄のUSS買収も「多大な投資?」ということで曖昧化することに成功した。事前の懸念を覆す形で概ね合格と野党も珍しく誉めている。こういう状態を今流行りの言い方だと「トランプ界隈」とでもいうのだろうか。
今回の会談のシナリオは政府が昨年12月から入念に準備を重ねてきた。結果、カナダ、メキシコ、EUなど他の同盟国に比べ、日本へはトランプ大統領が最大限の配慮をしてみせたと報道にはあるが、それは誤解だろう。戦後80年間地位協定を破棄できなかったことで日本の属国化は究極まで完了し、既にほぼ51番目の州状態であることを理解しておく必要がある。これ以上圧力を加えずとも、褒め殺せば日本は米国に貢献すると判断されていると思った方がいい。今の日本には正に「トランプ界隈」という言葉がピッタリなのだ。
ここで言う「界隈」とは、「自分は○○界隈かな」と感じているだけで明確な線引きは無い。「界隈」に所属している人の熱量にもグラデーションがあるので、他者が自分と同じ界隈にいるかどうかも判別しにくいといった特徴がある。こうした緩い表現ができる点は現代日本語の面白さでもある。結果、NHKの世論調査で石破内閣を「支持する」と答えた人は1月の調査より5ポイントも上がって44%となり、「支持しない」を上回った。
石破首相はNHKのインタビューの中で、トランプ大統領について「これから先、かなり落ち着いてじっくり話ができるなという印象を持った」と期待感を語っている。また宗教学者でもある元外務省調査官の佐藤優氏との会談で、トランプ大統領が偶然にも自分と同じカルバン派プロテスタントであることを知ったそうだ。2020年に発行された石破茂語録「主よ、用いてください」(あだむ書房)によると、首相の深いキリスト教信仰がその政治姿勢にも影響を与えていることが分かる。しかもそれは「自分は歴史的使命をもって生まれてきている」というカルバン派の信念(信仰)で、奇しくもトランプ大統領の「自分は運命に導かれてここにいる」とする内在的運命論と同じだ。
安倍元首相は一期目のトランプ大統領とゴルフを通して親密な関係を築いた。今回石破首相は、信仰が取り持つ縁で一気に懸案の地位協定改正まで持ち込めるだろうか。

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